10月に4日間かけて納屋の土壁改修を行った。
戦後に現地から戻ってこられたミツオさんが裏山の開拓した畑の上に建てた我が家は母屋も納屋もご本人の手造りの為、いわゆるザ古民家な立派な屋根も梁も柱もないけれど、納屋なんか使いまわしの梁も使っているのだけれど、それが何とも暮らしの息つかいが感じられて私にとってはとても愛着がある。
4年前に私たちが移住した時に母屋は改修し暮らしを始めたものの、手つかずだった納屋。
4年の時を経ていよいよ改修が開始した。
資金は無いのでさてどうするか、色々悩んだ末に土壁補修をワークショップ形式でやるアイデアを頂きそれを実行した。
土壁の材料は土と藁と水のみ、そして作業は建築を学ぶ学生や先生、建築事務所の先生が中心。「普段の畑の付き合い」とはまた違う面々とのセッションは新鮮でとても楽しかった。
謝礼は豚汁とおにぎりにてご勘弁頂き、4日間の工程を入れ替わり立ち替わり無事に完成まで辿り着く事が出来た。(本当に皆さまありがとうございました。)
土と藁をバランスよく大きな船(長方形の棺桶のような箱)に入れ足で踏んで混ぜる、混ぜる。うっかりすると長靴が脱げ、靴下が泥まみれになる。
それを木で作ったコテ受けに乗せてモタッとしたらOK、それを壁にべちょべちょと塗り付け、コテでしごく、しごく。
厚さ3㎝はなかなかの作業で一面塗り終えるのも一苦労ですが、少し経った土は発酵が進んでツンとする匂いが又楽しい。(皆さん嫌そうでしたが)
そして一部を扉にする為、土壁だった場所を崩す作業も行いましたが、何とも面白い。
土を削り、編んでいる縄を解き、木舞と呼ばれる竹で組んだ柵を外す。
あれだけ重厚な壁も手順に従えば簡単に解体出来る。ここにパワーショベルは要らない。
更にこの土に水を加えるとなんと、新しい土壁材料として次の壁に塗っていけるのです。
70年前に塗られた土壁を一切のごみを出さずに人の手で解体し、それをまた材料として使える。こんな素晴らしい資源の循環があるなんて!何でもかんでも無理やり循環だ、SDGSだ、サスティナブルだ言っている現代がアホらしくなる。
このあとは地元の大工さんに土間のモルタル敷き、屋根の葺き替え、配管等を行って貰い、その後、外壁や内装、扉製作は自分たちで仕上げる予定です。
さあ70年後またもやガタが来るこの納屋はウチの息子の子供?くらいがこの土壁を壊して水と一緒に練って、70年後の仲間たちとベチャクチャ言いながら壁を塗るのかな。
そんなことを思うとこの納屋もたまらなく愛着がわいてくる。